旅のガイドとプラン

恐山。唯一無二の景観と死者に会える場所。現世を生きる人の巡り方と,旅行プランの作り方

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恐山菩提寺山門

恐山に行ってみたいけど,恐ろしい場所なのかなぁ。どのように巡ればいいの?

困っている人

恐山まで行くのなら,周辺の観光地も合わせてまわってみたいけど,どのように旅行プランを作ればいいのか分からない。

困っている人
野兎八兵衛

野兎八兵衛(のうさぎ はちべえ)です。国家資格「総合旅行業務取扱管理者」を持つ野兎八兵衛が,恐山の巡り方と周辺の見どころを案内し,恐山を含めた旅行プランの作り方を説明します。

本記事の内容

  • 恐山の巡り方と恐山周辺の見どころ
  • 恐山を含めた旅行プランの作り方

恐山の巡り方と恐山周辺の見どころがわかり,恐山を含めた旅行プランを作れるようになると思いますよ。

恐山に行く前に知っておきたいこと

恐山は,青森県下北半島に位置する,特異な地形と独特の景観が見られる活火山のカルデラ地帯です。地名から恐ろしさを連想されがちですが,「恐」の字が直接意味するものではなく,歴史や信仰が生み出した神秘的な場所といえます。恐山を巡る際に知っておくと良いポイントを紹介します。

特異な地形が生み出す独特の景観

恐山は,青森県下北半島にある活火山で,恐山という山はなく,釜臥山,大尽山,小尽山,北国山,屏風山,剣の山,地蔵山,鶏頭山の八つの山の総称です。最高峰は標高879mの釜臥山です。釜臥山には展望台があり,展望台から見えるむつ市街は「光のアゲハチョウ」と呼ばれる素敵な夜景です。八つの山は仏教で仏様が座る八葉蓮華に例えられています。

恐山を構成する八つの外輪山に囲まれたカルデラに宇曽利湖があります。宇曽利湖の「ウソリ」の語源は諸説あるようですが,アイヌ語の「ウショロ(くぼみ)」に由来し,ウショロ→ウソリ→オソリ→オソレと変化したと言われています。恐山という字面から,なにやら恐ろしい場所のようなイメージを持つかもしれませんが,直接的には「恐」という漢字とは関係がありません。

宇曽利湖の湖畔にはゴツゴツとした岩が広がっている場所があります。これは溶岩で,ところどころで蒸気が噴き出しています。草木はあまり生えていませんが,案内ガイドによると少しずつ繁殖が進んでおり,数十年前よりも明らかに草木は増えているとのことです。別府や雲仙などでもこのような風景の場所は地獄と呼ばれているように,恐山でも地獄と呼ばれています。

恐山菩提寺の参道から地獄方向を望む(手前は温泉小屋)
恐山菩提寺の参道から地獄方向を望む(手前は温泉小屋)

ゴツゴツとした岩が広がる場所の隣には,小石が広がる平らな場所があります。かつて宇曽利湖の湖水が流れ出す出口が土砂で埋まって水位が上がり,この場所は湖底になり岩が均されて小石となり,その後別の出口ができて水位が下がったことで地表に現れました。これが賽の河原です。

カルデラ湖である宇曽利湖は,湖底から強酸性の噴気が出ており,肉眼でも確認することができます。湖水が強酸性であるため生物が棲めず,そのため湖水が非常に澄んでいます。棲息する魚はウグイ1種のみです。宇曽利湖の湖畔は白い砂浜が広がっています。火山活動に伴いマグマが冷え固まった岩石で透明な石英だけが残ったため,白い浜になったとのことです。エメラルドグリーンの湖水と真っ白な砂浜が静謐な雰囲気をつくりだし,極楽浜と名付けられているのも分かるような気がします。

宇曽利湖
宇曽利湖

恐山は活火山なので,現在も火山性ガスが発生しており硫黄臭が漂っています温泉も沸いています。江戸時代には湯治場として有名だったそうです。現在も温泉が湧いており,霊場内には4つの温泉小屋があり,参拝者は無料で入浴できます。

特異な地形によってつくりだされた,地獄や極楽を想像させる景観が連なる,恐山にしかない独特の雰囲気をつくりだしています。

霊場としての恐山

霊山としての恐山は,比叡山(滋賀県,京都府),高野山(和歌山県)とともに日本三大霊山といわれています。日本三大霊山,日本三大霊地,日本三大霊場など類似の表現がありますが,ここでは日本三大霊山とします。

宇曽利湖の北東部にある恐山菩提寺は,862年(貞観4年)に天台宗の慈覚大師円仁によって開山されたとされています。1456年(康正2年)に蠣崎蔵人の乱で焼き払われ,1530年(享禄3年)に円通寺の曹洞宗の僧侶により再興されて曹洞宗となっています。現在も円通寺が恐山菩提寺を管理しています。本尊は延命地蔵尊です。

恐山菩提寺の院代である南直哉さんは,メディアにも度々出演されており,著作もあります。恐山を訪れる前に,南直哉さんのインタビュー「死者を想う場所 聖地・恐山」を一読されることを強くオススメします。恐山がどのような場所なのかよく分かります。

南直哉さんの著書「恐山: 死者のいる場所 」もオススメです。「新版 禅僧が教える心がラクになる生き方」もどうぞ。

恐山菩提寺の開山期間は5月1日~10月末日で,開門時間は6:00~18:00です。入山料は大人1人500円,小・中学生1人200円です。7月20日~24日に恐山大祭が,10月のスポーツの日が最終日となる3日間(土・日・月)に秋詣りが開催されます。

7月の恐山大祭は恐山菩提寺最大のイベントで,亡くなった人をを供養するため,通常6:30,11:00,14:00の3回のみ行われている法要・祈祷の他に,大施餓鬼法要大般若祈祷が行われます。大祭のハイライトが,7月22日10:00から行われる山主上山式(さんしゅじょうざんしき)です。太鼓橋から菩提寺総門までの間を僧侶,山主の乗った籠行列が続きます(参考:一般社団法人東北観光推進機構のサイト「恐山大祭」)。

恐山といばイタコと呼ばれる霊媒師を思い浮かべる人も多いと思います。イタコは,恐山菩提寺とは一切関係なく,個人事業主として活動しています。恐山菩提寺は場所を提供しているだけです。目の不自由な女性が,自立して生きていけるよう子どもの頃から厳しい修行を重ね,口寄せと呼ばれる亡くなった人の言葉を伝える能力を身につけることで,生計を立てています。イタコは占い師ではありません。かつてはかなりの数のイタコがいたそうですが,生活保護など社会保障制度の整備に伴い,イタコになる人は非常に少なくなっているとのことです。

イタコは恐山菩提寺には常駐しておらず,恐山大祭秋詣りの際に来られます。口寄せ料は決まってはいませんが,1回1人を口寄せするのに5,000円が相場となっているようです。イタコは土地のなまりで話されますので,他の地域から来られた人には聞き取りにくいとも言われています。筆者は恐山大祭の日に恐山菩提寺を訪れましたが,多くの方がイタコの口寄せの順番待ちをしていました。

宮本常一の「私の日本地図3 下北半島」によると,イタコは元々は津軽に多く存在していましたが,1921年(大正10年)の大湊線の開通により,恐山に出張するようになったとのことです。この本は1967年(昭和42年)初版ですが,その当時でも恐山の観光地化を憂えています。

恐山へのアクセス

恐山は,青森県むつ市に位置しています。

自動車でのアクセス

恐山まで,むつ市中心部から約15kmです。むつ市までは,三沢空港から約80km,青森空港からは約115km,八戸駅からは約115km,青森駅からは約105kmです。下北半島縦貫道路が部分開通しています。通行料は無料です。

レンタカーは,下北駅もしくは,三沢空港八戸駅青森空港青森駅で借りるのがいいと思います。エアトリで,下北駅三沢空港八戸駅青森空港青森駅で借りられるレンタカーの格安料金を比較し,予約できます。

恐山菩提寺の駐車場は,門前に大きな無料の駐車場があります。

鉄道でのアクセス

恐山の最寄駅は,JR大湊線JR下北駅です。JR下北駅までは,大湊線でJR野辺地駅から約56分です。JR大湊線は,他のJR線とはつながっていません青森駅八戸駅からは青い森鉄道を利用して野辺地駅に向かう必要があります。

東京駅から,八戸駅までは,東北新幹線・はやぶさで,約2時間44分です。東北新幹線・はやぶさで新青森駅まで約3時間9分で,新青森駅から青森駅までは奥羽本線で約6分です。

八戸駅青森駅新青森駅を発着する新幹線や特急のチケットは,JR6社全国対応!新幹線・特急のチケット手配♪【NAVITIME Travel】で,駅の窓口や自販機で並ばずに購入し,自宅や職場まで届けてくれます。近くにみどりの窓口があるJRの駅がない人にも,便利なサービスです。

青春18きっぷを利用する際には通過特例があり,青い森鉄道線の「青森~八戸」「青森~野辺地」「八戸~野辺地」間については、普通・快速列車の普通車自由席に乗車して通過利用する場合に限り利用できます。青森駅から野辺地駅を経由して大湊線大湊駅へ向かう場合は,青森駅から大湊駅まで下車せずに旅行する場合は「青森~野辺地」間の青い森鉄道線の運賃は不要ですが,青森駅と野辺地駅との間で途中下車する場合は青い森鉄道線の運賃が必要です(参考:青い森鉄道「よくあるご質問」,JR東日本「青春18きっぷ」)。

下北駅の次が,大湊線の終点・大湊駅です。大湊は,戦前は日本海軍の鎮守府ではありませんでしたが,戦後,海上自衛隊は,日本の沿岸海域を,大湊(青森県),横須賀(神奈川県),舞鶴(京都府),(広島県),佐世保(長崎県)の5つの警備区に分け,地方隊を置いています。大湊地方隊では,基地内の艦艇見学や北方の海上防衛をテーマとした展示館「北洋館」の見学ができます。海上自衛隊は,毎週金曜日にカレーを食べます。艦艇ごとにレシピが異なります。むつ市内には,大湊海上自衛隊のカレーが食べられる店もあります。

JR下北駅から恐山に向かうには,下北交通の路線バスの恐山線で,約38分です。11月から4月の冬期は運行されていません。

むつ市街から恐山に向かう途中に冷水が湧き出している場所があります。「冷水」というバス停もあります。昔から恐山を参拝する人々が,手を洗い,口をすすぎ,清めていたとともに,旅人の喉を潤してきた水だそうです。1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで生きるといわれており,多くの人が利用しています。数台の車が止められるスペースがあります。筆者も美味しくいただきました。

冷水
冷水

飛行機でのアクセス

恐山には,三沢空港青森空港が近いです。

三沢空港には,JALが東京羽田空港,札幌丘珠空港,大阪伊丹空港との間を就航しています。ANAは就航していません

青森空港には,JALが東京羽田空港,名古屋小牧空港,大阪伊丹空港,札幌千歳空港,神戸空港と,ANAが大阪伊丹空港,札幌千歳空港との間を就航しています。

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恐山菩提寺の拝観方法・注意点・気をつけること

地元では古くから「死ねばおやま(恐山)さ行く」と言い伝えられてきました。そのため,恐山菩提寺には亡くなった人に会いに来る方も少なくありません。物見遊山としてではなく,静かに参拝する場所としての心構えが大切です。大声を出したりはしゃいだりすることのないよう気をつけましょう。

恐山菩提寺一帯は火山性ガスが噴出しており,高齢者など体力が弱っている人や身長が低い子どもなどは中毒に注意が必要です。人によっては,火山性ガスによる中毒症状で頭痛などを発症する場合があります。電子機器が調子悪くなることがあります。これも単なる化学反応です。前述した恐山菩提寺の院代である南直哉さんがコンピュータを導入したところ,半年でダメになったそうです。このような火山性ガスによる人や物への悪影響が,霊によるものだとか怪奇現象だといった噂を呼び,恐山は恐ろしい場所というイメージを生んでしまったのでしょう。

最近は,テレビ東京系・出川哲朗の充電させてもらえませんか?恐山からグルッと下北半島巡り函館山SP」,や,ブラタモリ恐山〜なぜ恐山で死者に会えると思うのか?〜」でも取り上げられたこともあり,恐ろしい場所というイメージは薄らいできて,今後は少しずつ観光化していくのかもしれません。

恐山菩提寺のオススメの巡り方

特殊な場所ですので,ガイドをお願いすることをオススメします。ガイド1名につき5名までは3,000円です。所要時間は約1時間です。当日受け付け可能ですが,繁忙期には事前に予約しておいた方がいいと思います。歴史的な背景,宗教的な意味,現代の状況などをていねいに説明してもらえます。

巡るルートはガイドが案内してくれると思いますが,総門から入って山門をくぐり地蔵殿でお詣りしたのち,地獄を通って賽の河原を抜けて極楽浜に出て,戻ってくるのが定番かと思います。地獄を通って極楽に出て現世に戻ってくることで,今を生きている私たちの心がリセットできるとのことです。

恐山を訪ねるための宿泊地

恐山菩提寺には,吉祥閣という宿坊があります。清潔で立派な施設です。1泊2食で1人12,000円で,現金のみです。旅行代理店では取り扱いがありませんので,電話(0175-22-3826)で予約することになります。詳細は恐山宿坊利用案内を参照ください。

一般的にはむつ市中心部のホテルに宿泊するのが便利だと思います。多数あるので旅のスタイルに応じて選べばいいと思います。

オススメは,津軽海峡に面した本州最北の温泉街である下風呂温泉郷です。下風呂温泉郷には8軒の宿泊施設があります。源泉が3箇所あり泉質も異なり,宿泊施設によって引いている源泉が違います。天候にも依りますが,北海道がハッキリと見えます。

古くは江戸時代の紀行家・菅江真澄から,同志社大学の創始者・新島襄,昭和の文豪・井上靖,そして充電旅の出川哲朗も,下風呂温泉に宿泊しています。井上靖は小説「海峡」の終局を下風呂温泉の旅館で執筆しており,下風呂温泉郷にある海峡いさりび公園に碑が建てられています。また,井上靖も入った源泉にも,「下風呂温泉 海峡の湯」で入ることができます。

宿泊施設の予約をする際に,ポイントサイトを利用するとお得に泊まれることをご存じでしょうか? 

楽天トラベルじゃらんあるいはアゴダエクスペディアなどの比較サイトに直接アクセスして予約するのはもったいないです。ポイントサイトを経由することで,さまざまな特典やキャッシュバックを受けられる可能性があります。

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宿泊予約時にポイントサイトを利用する流れは,ポイントサイトに登録⇒ポイントサイト経由で宿泊予約サイトにアクセス⇒通常通り予約を完了⇒予約した宿泊施設に宿泊⇒ポイントを獲得⇒現金やマイルなどに交換,となります。

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じゃらんアゴダブッキングドットコムエクスペディアJTBなどで宿泊を予約する際に,モッピーを経由するだけで,モッピーのポイントが貯まります。モッピーのポイントは1ポイント1円相当で,銀行口座に振り込むことで現金化できますし,楽天ポイントTポイントなどのポイントに交換することもできます。SuicaやPASMOなどの交通系ICカードJALなどのマイルにも交換できます。

下図の例の場合,50,000円の宿をじゃらんで予約し宿泊したら,じゃらんのポイントに加え,宿泊金額の3.0%となる1,500ポイント(1,500円相当)のモッピーのポイントがもらえます。ポイントの二重取りです。

モッピーの宿泊予約広告の例
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モッピーの楽天系の広告例
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恐山を訪ねる旅で楽しみたい食事

マグロウニなど海産物には恵まれた地域ですが,陸奥湾で獲れるホタテはいかがでしょうか。オススメは,むつ市街から恐山に向かう道筋にある「なか川」です。郷土料理であるみそ貝焼き(下北ではみそかやき,津軽では貝焼き味噌,と言う)を提供する元祖の店として有名です。みそ貝焼きは,大きなホタテの貝殻を鍋代わりにして,ホタテなどの食材と味噌を乗せて焼き,溶き卵を入れて卵とじにする料理です。みそ貝焼定食は1,200円でした。ホタテの刺身とホタテフライが付いたホタテ定食もオススメです。時価ですが,筆者が食べたときは2,500円でした。

なか川のみそ貝焼定食
なか川のみそ貝焼定食

太宰治は小説「津軽」の中で「貝焼き味噌」について触れています。太宰治の「津軽」を読むと,津軽の風土がよく分かりますよ。この機会に読んでみてはどうでしょうか。

恐山を含めた旅行プランの作り方

ルート作成の考え方

恐山を巡るための所要時間は,案内のガイドをお願いするとして,1時間半程度は確保しておきましょう。むつ市街から恐山に向かうのが一般的ですので,片道30~40分,往復1時間強でしょう。合計で3時間程度となりますが,バスの場合は時刻表を確認しておきましょう。

恐山を含めたルートとしては,恐山の前後にどこに寄るか,どこに泊まるか,がポイントとなります。

ルート例①:下北半島満喫周遊ルート

青森県は,津軽,南部,下北に分かれます。下北半島を満喫するルートです。

三沢空港または八戸駅が発着地となります。公共交通機関では行きづらい場所もありますので,レンタカーをオススメします。

1日目は,三沢空港または八戸駅から午前中にむつ市街に到着し,昼食後,恐山を訪れ,興味に応じて,尻屋崎,原子力関連の施設,斗南藩ゆかりの場所など周辺を観光し,むつ市街もしくは下風呂温泉郷に宿泊し,2日目に大間崎仏ヶ浦を回って三沢空港または八戸駅に戻るルートです。逆ルートも可能です。まさに下北半島を周遊し満喫できると思います。天候によって当日訪問地を変更することも,ある程度可能なプランです。

下北半島は,1968年(昭和43年)に下北半島国定公園に指定されました。範囲は,恐山を中心とした中央の山地,尻屋崎大間崎,および仏ケ浦を中心とした西海岸などです。

最果ての尻屋崎

尻屋崎は,本州の最北東端の岬で最果てを感じることができます。岬に立つ尻屋崎灯台はレンガ造りの灯台として日本一の高さで登ることができます。螺旋階段は狭く,上部の歩行できる場所も細く狭いため真下が見え,閉所恐怖症や高所恐怖症の人は少し辛いかもしれません。見学時間終了時刻の15分前までに入場しなければならないので,注意が必要です。周辺には灯台以外に人工物はほとんどなく,牧草地に寒立馬(かんだちめ)という馬が放牧されています。むつ市街から約30kmです。

尻屋崎から下北半島を望む
尻屋崎から下北半島を望む

ブランドマグロで有名な大間崎

大間崎は,本州最北端の岬で対岸の北海道函館市汐首岬までの距離は17.5kmです。尻屋崎と対照的に,大間崎付近は観光地化されていて,観光案内所「大間崎レストハウス」,マグロをモデルにしたモニュメント,多くの飲食店や土産物店などがあります。むつ市街から約50km,下風呂温泉郷からは約20kmです。大間マグロは,大間崎の沖合5km付近で,8月から1月頃に獲れます。

大間崎のモニュメント
大間崎のモニュメント

海からしか見られない奇岩群が見どころの仏ヶ浦

仏ヶ浦は,日本の秘境百選にも選ばれている不思議な形をした巨大な奇岩群が約2kmにわたって立ち並ぶ独特の景観で有名です。大間崎から下北半島の西側を南に約16kmの佐井村の佐井港から出る仏ヶ浦海上観光の遊覧船で,仏ヶ浦に着岸し散策ができます。所要1時間30分です。海沿いの国道には無料駐車場がありますが,100m以上の階段を片道15分以上かけて上り下りしなければならないので,遊覧船をオススメします。

仏ヶ浦
仏ヶ浦

風力発電と原子力関連施設が集中する下北半島

下北半島を巡っていると,風力発電の風車をよく見かけます。株式会社グリーンパワーインベストメント株式会社ユーラスエナジーホールディングスなどが事業を行っています。風が強い地域であることがよく分かります。

下北半島には原子力関連の施設もたくさん立地しています。マグロで有名な大間町には電源開発株式会社が大間原子力発電所を建設中です。尻屋崎を含む東通村には東北電力株式会社の東通原子力発電所があります。六ヶ所村には日本原燃株式会社の原子燃料サイクル施設が集中しています。

なぜ,下北半島には風力発電所や原子力関連の施設が集中しているのでしょうか。東通原子力発電所PR施設トントゥビレッジ六ヶ所原燃PRセンターを訪ねてみるのもいいと思います。原子力船むつの展示があるむつ科学技術館もあります。

下北半島の原子力関係の施設
下北半島の原子力関係の施設
(出典:東北電力のサイト https://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/safety/higashi/introduction.html)

会津藩が移封されて辛酸をなめた斗南藩

歴史好きであれば,斗南藩ゆかりの場所を巡るのもいいでしょう。

江戸時代,会津藩は徳川御三家に次ぐ家柄で24万石の規模を持っていました。会津藩主であり京都守護職だった松平容保は,戊辰戦争で旧幕府軍として新政府軍と戦いましたが旧幕府軍は敗退し,朝敵の汚名を着せられ会津藩には廃藩が命じられました。会津松平家は,1869年(明治2年)にに容保の嫡男容大による家名再興が許されされますが,下北半島に移封され,石高3万石を与えられ斗南(となみ)藩を立てます。下北半島は酷寒不毛の地であり実際の石高は7千石程度だったようです。そのため,斗南藩の人々の生活は困窮を極めました。薩長による流刑であり罪人扱いだったと言われます。1871年(明治4年)の廃藩置県により斗南藩は消滅しますが,下北半島には斗南藩の史跡が残っています。

斗南藩―「朝敵」会津藩士たちの苦難と再起」(星 亮一)に詳しく描かれています。興味をお持ちの方は,以下のサイトから是非どうぞ。

ルート例②:下北と津軽の両半島を訪れるルート

ルート①の下北半島満喫周遊ルートの途中から津軽半島に渡るルートです。逆ルートも可能です。

下北半島の脇野沢港と津軽半島の蟹田港を約1時間分で結ぶ陸奥湾フェリーを利用して,下北半島から津軽半島に来る,あるいは,津軽半島から下北半島に行く,ルートです。下北半島と津軽半島の違いが感じられて,変化のある旅になると思います。

津軽側では,大型のねぶたが展示されているねぶたの家 ワ・ラッセ世界文化遺産にも登録されている縄文集落遺跡の三内丸山遺跡,ブナの原生林が広がる世界自然遺産白神山地,津軽富士とも呼ばれる岩木山とりんごの街・弘前,太宰治のふるさとで立佞武多で有名な五所川原,日本一の木造三連太鼓橋「鶴の舞橋」,石川さゆりの津軽海峡冬景色で知られる龍飛崎,など多くの見どころがあります。

三内丸山遺跡
三内丸山遺跡

当ブログでは,諏訪湖の旅のガイドとプランの記事で,三内丸山遺跡まで流通していた諏訪湖北東部の和田峠周辺の黒曜石について取り上げています。よろしければ,そちらもどうぞ。

合わせて読みたい

ルート例③:津軽海峡をまたぐ北海道ルート

ルート①の下北半島満喫周遊ルート途中から北海道に渡るルートです。逆ルートも可能です。

大間港函館港を約90分で結ぶ津軽海峡フェリーを利用して,函館から恐山に来る,あるいは,恐山から函館に行く,ルートです。北海道と本州をフェリーで渡るのも面白いですよ。津軽海峡フェリーは,全国フェリー予約【スカイチケットフェリー】で予約できます。

テレビ東京系列の出川哲朗の充電させてもらえませんか?恐山からグルッと下北半島巡り函館山SP」では,恐山から下北半島を巡って函館山に行くルートでした。

函館山の夜景
函館山の夜景

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恐山を旅するための基礎データ,オススメのガイドブック

恐山を旅するための基礎データ

恐山の見どころの中心となる恐山菩提寺の基礎データは以下です。

項目内容
名称恐山菩提寺
郵便番号035-0021
住所青森県むつ市大字田名部字宇曽利山3-2
電話番号0175-22-3825

恐山を旅するためのオススメのガイドブック

インターネットで検索すれば最新の情報が得られますが,旅にはガイドブックがあった方がいいと思います。やはり手元にまとまった情報があるのは安心です。必要に応じてインターネットで最新の情報を補完しましょう。

国内旅行のガイドブックを発行している会社は,株式会社昭文社,株式会社JTBパブリッシング,株式会社地球の歩き方などが大手です。

地図を得意とする旺文社は,まっぷる,ことりっぷ,COLOR+,山と高原地図ツーリングマップルなどを発行しています。まっぷるは旺文社が得意とする地図に優位性があると言われています。ことりっぷは,国内版は「週末に行く小さな贅沢、自分だけの旅」をコンセプトとした”旅好きの女性が週末に行く、2泊3日の小さな旅を提案する国内ガイドブック”(ことりっぷサイト)です。

旅行代理店国内最大手の株式会社JTBの子会社であるJTBパブリッシングるるぶ楽々ココミルララチッタ,時刻表などを発行しています。るるぶは「見」「食べ」「遊」の最後の文字を組み合わせた誌名からして幅広い情報に優れているとされています。

まとめ

  • 恐山はガイドを依頼するのがオススメ。1時間半ほどは確保しておこう
  • 宿泊は,むつ市街もいいが,津軽海峡に面した下風呂温泉がオススメ
  • 下北半島満喫,津軽半島との比較,北海道との組み合わせなど多様なルートが可能

恐山の巡り方と恐山の周辺の見どころを案内し,恐山を含めた旅行プランの作り方を説明しました。

神秘的で厳かな恐山で,地獄と極楽を巡る体験を通じて,自然と信仰が織りなす日本独特の霊場文化に触れる旅をお楽しみください。

旅する際には,最新の情報を確認しましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。良い旅を!

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